もし今、あなたの目の前で友達が倒れたり、交通事故が起きたりしたら、すぐに救急車を呼べますか?
「そんなの、普通に119番するだけでしょ?」と思った人、ちょっと待ってください。 焦っているときに、震える手でパスコードを解除して、電話アプリを探して……というのは、意外と難しいものです。
実は、スマホにはロック画面を解除せずに、ボタン操作だけで警察や消防を呼べる「緊急通報機能」がついています。
この記事では、実際にスマホが命を救ったニュースを紹介しつつ、使い方と「日本では通報できない意外な落とし穴」について解説します。

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【実話】スマホに命を救われたニュース

「緊急SOSなんて、一生使わないでしょ?」 そう思っている人にこそ知ってほしいのが、実際にこの機能のおかげで九死に一生を得たニュースです。これは映画の話ではなく、現実の話です。
ケース1:車が崖下に転落……意識がない運転手をスマホが救助
深夜、車で山道を走っていた男性が操作を誤り、崖下へ転落してしまいました。 男性は頭を打って意識不明。人通りも全くない場所だったので、普通ならそのまま誰にも発見されず、手遅れになるところでした。
しかし、彼の持っていたiPhone(またはPixel)が衝撃を感知して作動しました。 「激しい衝突事故」をスマホが検知し、「大丈夫ですか?」という画面の問いかけに反応がなかったため、スマホが自動で119番通報を実行。さらにGPSで正確な場所を消防に送信しました。
救急隊が駆けつけた時、男性はまだ意識がありませんでしたが、スマホのおかげで無事に病院へ搬送され、命を取り留めました。(※衝突事故検出機能)

ケース2:冬山で遭難、電波もない場所で……
スノーボードを楽しんでいた大学生グループが、コース外を滑走中に天候が悪化し、遭難してしまいました。 そこは携帯の電波が全く入らない「圏外」のエリア。LINEも電話もつながりません。
そこで彼らが使ったのが、iPhone 14以降に搭載された「衛星経由の緊急SOS」です。 空に向かってスマホをかざし、人工衛星を通じて救助要請のテキストを送信。数時間後、送られた位置情報を頼りに救助ヘリが到着し、全員無事に救出されました。
このように、今のスマホは単なる電話機ではなく、「あなたを守る命綱」になっているのです。
そもそも「緊急通報機能」とは?(通常電話との違い)

日本の緊急通報番号は、主に以下の3つです。
- 110番: 警察(事件・事故)
- 119番: 消防(火事・救急・救助)
- 118番: 海上保安庁(海の事件・事故)
普段、LINE通話ばかり使っていると馴染みがないかもしれませんが、これらは通常の電話アプリとは違う、強力な機能が備わっています。
1. ロック解除なしでかけられる
パスコードやFace ID/Touch IDが通らなくても、緊急ボタン(後述)さえ押せば強制的に発信画面へ進めます。
2. 「今どこにいるか」が勝手に伝わる
これが一番重要です。 日本の携帯電話ネットワークでは、スマホで110番や119番にかけると、あなたのGPS位置情報が自動的に警察や消防の指令台へ通知される仕組み(緊急通報位置通知)になっています。
「気が動転して住所が言えない」「知らない場所にいる」という場合でも、スマホが勝手に場所を教えてくれるのです。これはLINE通話などにはない、緊急通報だけの特別な機能です。
【機種別】緊急SOSの起動方法と設定
いざという時に「えっと、どうやるんだっけ?」とならないよう、自分の持っているスマホの操作方法を確認しておきましょう。
iPhoneの場合(サイドボタン操作)

iPhoneは、基本的に「長押し」か「連打」のどちらかで起動します(設定で変更可能)。
- 基本操作: 本体の右側にある「サイドボタン」と、左側にある「音量ボタン(どちらか片方)」を同時に長押しします。すると画面に「緊急電話」のスライドバーが出てきます。
- 5回押し設定: 設定によっては、サイドボタンをすばやく5回押すだけでカウントダウンが始まり、自動で通報されるモードもあります。
Android(Pixelなど)の場合(電源ボタン連打)

Androidスマホ(Google PixelやGalaxyなど)は、メーカーによって多少異なりますが、多くの機種で共通しているのが「連打」です。
- 基本操作: 電源ボタンをすばやく5回以上連打します。
- どうなる?: 大きな警報音が鳴ってカウントダウンが始まり、そのまま放っておくと自動的に110番や119番へ発信されます。
Pixelなどの一部機種では、通報と同時に「動画の自動撮影」を開始したり、事前に登録した家族などの緊急連絡先へ「今ここにいます!」という通知を一斉送信したりする機能もついています。一度、設定メニューの「緊急情報と緊急通報」を確認してみてください。

知らないと危険! 日本国内での「通報できない」ケース
ここがこの記事で一番伝えたいポイントです。 ネットや海外の映画を見ていると「スマホなら何でも通報できる」と思いがちですが、日本の通信ルールは少し特殊です。条件によっては「スマホがあるのに通報できない」という最悪の事態が起こります。

SIMなし・データ専用SIMでは通報不可
古いスマホをWi-Fi専用で使っていたり、格安SIMの「データ通信専用プラン(電話番号がないプラン)」を使っていたりしませんか?
日本では、警察や消防から「折り返し電話(呼び返し)」ができる状態でないと、緊急通報がつながらないという決まりがあります。
- 契約切れの古いスマホ(SIMなし): 110/119番にはつながりません。
- データ通信専用SIM(IIJmioなどのデータプラン): LINE通話はできても、110/119番にはつながりません。
Androidの画面上には「緊急通報」ボタンが表示されることがありますが、押してもつながらないケースがほとんどです。「サブ機だから大丈夫」と思っていると危険なので、必ず音声通話ができるメインのスマホを持ち歩くようにしましょう。
「184(非通知)」発信は位置情報が届かない

「知らない人に番号を知られたくない」という理由で、常に「184(非通知)」をつけて発信している人がいるかもしれません。
しかし、緊急通報で「184」をつけてしまうと、最初に説明した「位置情報の自動通知」がブロックされてしまいます。
もちろん、警察側で「これは人命に関わる!」と判断されれば強制的に位置情報を取得することもありますが、最初からスムーズに場所を伝えるためには、緊急時に非通知設定は絶対にやめましょう。 そのまま発信するのが一番です。
最新機能「映像通報システム(Live110/119)」の使い方

最近、ニュースで話題になっているのが「映像通報(ビデオ通報)」です。 これは、110番や119番をした後に、警察や消防の指示でスマホのカメラを使って現場の映像を送る仕組みです。専用のアプリを入れる必要はありません。
- 電話する: まずは普通に110番か119番に電話します。
- SMSが届く: 指令員が必要だと判断すると、あなたのスマホにSMS(ショートメッセージ)が届きます。
- タップして撮影: URLをタップして、カメラへのアクセスを許可すると、ビデオ通話のように現場の映像が相手に伝わります。
「怪我人の出血がひどい」「目印のない山道にいる」「犯人の特徴を伝えたい」といった、言葉では説明しにくい状況を一発で伝えられます。もし指令員から「映像を送れますか?」と聞かれたら、落ち着いて対応しましょう。
勝手にスマホが通報?「誤発信」の防ぎ方と対処法

便利な緊急SOS機能ですが、最近問題になっているのが「誤発信」です。 カバンの中で電源ボタンが圧迫されたり、スキーで転んだ衝撃をスマホが「自動車事故だ!」と勘違いしたりして、勝手に119番にかかってしまうケースが増えています。
もし間違えてかかってしまったら「切らない」
もし、スマホから「ウゥゥゥ!」と警告音が鳴って、勝手に119番につながってしまったら、どうしますか? 多くの人は「やばい!」と思って、すぐに電話を切ってしまうと思います。
でも、無言で切るのが一番ダメなんです。
消防側は「無言で切れた=何か事件に巻き込まれて話せない状態かもしれない」と考えます。そのため、GPS情報を元に消防車を出動させたり、何度も折り返し電話をかけたりします。
もし間違えてかかってしまったら、電話を切らずに「間違えました。救急車は必要ありません」と伝えてください。 怒られたりはしません。「間違いですね、わかりました」と確認できれば、消防の人も安心できます。

カバン内での誤作動を防ぐ設定
「カバンの中で勝手にボタンが連打されて通報されていた」という事故を防ぐには、設定を見直しましょう。
- カウントダウン音をオンにする: 誤作動した時にすぐ気づけるように、大きな音が鳴る設定にしておく。
- 操作方法を変える: Androidの場合、電源ボタン連打での通報機能をOFFにして、ロック画面のメニューから操作する方法に変えることもできます。自分のライフスタイルに合わせて調整しましょう。

まとめ

スマホの緊急通報機能は、あなたとあなたの大切な人を守る「命綱」です。
- 自分のスマホの通報操作(連打か長押しか)を一度確認する。(実際にかける直前の画面まで試してみると安心です)
- 「SIMなし」のスマホは緊急通報できないことを覚えておく。
- もし間違えてかけたら、切らずに「間違えました」と伝える。
この3つだけは、ぜひ今日覚えて帰ってくださいね。 もしもの時に「この記事を読んでおいてよかった」と思える日が来るかもしれません。

参考元一覧
- Apple公式: iPhone で緊急 SOS を使う
- Apple公式: iPhone 14、iPhone 14 Pro、iPhone 15、iPhone 15 Pro で衛星経由の緊急 SOS を使う
- Google公式: 緊急時のために Pixel スマートフォンを準備する
- Google公式: 緊急時や災害時に Android デバイスで助けを求める
- 総務省消防庁: スマートフォンから自動で119番発信する機能について
- 警察庁: 110番映像通報システム
- NTTドコモ: 緊急通報位置通知
- IIJmio(MVNO): データ通信専用SIMで緊急通報はできますか?
- ケータイWatch: SIMなしスマホから緊急通報ができないワケ

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